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吉野屋の女性蔑視発言から学ぶべきこと

2022.04.22
カテゴリ: お知らせ

 

【事案の概要】

「講師は吉野家・常務取締役企画本部長の伊東正明氏。吉野家は18歳から25歳までの若い女性の集客に苦戦しており、こうした女性たちを取り込む施策を考えて欲しいと説明する過程で、伊東氏は「生娘をシャブ漬け戦略」と笑いながら複数回発言。『田舎から出てきた右も左も分からない女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、(牛丼は)絶対食べない』と話していたという。」

business insider japan:吉野家「生娘をシャブ漬け戦略」抗議した受講生が詳細語る。「教室で笑い起きた」 https://www.businessinsider.jp/post-253254

 

【この発言の背景にある考え方は何なのか?】

この発言が、人権やジェンダーの点から問題なのは、言うまでもありません。

このブログでは、なぜ、彼がこういう発言をしてしまったのか、その背景を考えてみたいと思います。(本ブログは、グロービス経営大学院のマーケティング唐澤俊輔先生の授業の内容を参考にしています。)

伊東正明氏は、P&Gのグローバルチームのマーケティング責任者に抜擢され、吉野屋に引き抜かれたマーケティングのプロです。マーケティングは、商品を売るために、顧客をセグメンテーションし、ターゲットとなる顧客を特定して、打ち手を考えます。

ここからは、私の想像ですが、この方は、常に売上を追いかけ、「ターゲット顧客にいかに商品を買わせるか?」を考え続け、実際に売上を増加させていく中で、顧客が無機質なお金を落とす獲物に見えていたのではないでしょうか。そうすると、いかに顧客を洗脳し罠をかけて刈り取るかという傲慢な発想になっていってしまったのだろうと想像します。

一方、同じマーケッターでも、「自分が若い女性だったら何が嬉しいか?」という人間中心の顧客目線でマーケティングをしていたら、きっと違った発言になったのだと思います。(きっとこの方も最初はそういうマーケッターだったのだと思います。)

「都会に出てきたばかりの若い女性に、牛丼のファンになってもらい、実家のご飯のようなほっとする食事を提供したい」などと言えば、もちろん炎上することはなかったでしょう。

【人や商品を軽んじている姿勢が出てしまった】

また、「男に高い飯を奢ってもらえるようになれば、牛丼は絶対食べない」というのは、自社商品に対する愛がなく、牛丼を馬鹿にしています。それに、「高い飯を奢ってもらう」と言う発言からも、女性のことを軽んじている姿勢が垣間見えます。

この方は、マーケッターとしては優秀かもしれませんが、周りの人や商品・サービスを心のどこかで軽んじながら生きてきた、それが業界内では外に漏れなかったが、早稲田大学という自分の頭で考えられる大勢の若者のいる場で発言してしまい、それが表に出てしまったのだと思います。

【ここから学べることは?】

数字を追って仕事をしていると、顧客や従業員をお金などの数字に置き換えて考えることもあるかもしれせん。定量化して物事を考えるのは経営をする上では非常に重要です。しかしながら、当然、会社は、生身の人に対して、価値を提供することで成り立っています。そこを常に忘れないようにしたいものです。

また、私たちは、様々な価値観で生きています。世間の大きな価値観や社会通念というのは、時代により大きく変わっており、その時代の価値観を常に感じ取りながら、自分の価値観を相対化していく必要があります。この方も、森喜朗元五輪組織委員会会長も、きっと自分が女性蔑視の価値観を持っているんだ、ということに気づくことができなかったのでしょう。

私も、自分の価値観が偏っている可能性があります。ですが、これを偏っていると知っていれば、価値観を修正することもできますし、転換しないにしても発言に気をつけることができます。

まずは、周りの人と話す中で、自分の価値観を相対化してみると、いいかもしれませんね。