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売掛金2000万円回収の目途が立った事案
売掛金約2000万円を持つ企業様より、依頼を受け、訴訟と差押をすることで、売掛金の回収の見込みが立ちました。
相談の概要
この企業様(依頼者企業)は、材料を販売する商社で、自動車部品の製造販売する企業(相手企業)に対して、継続的に取引をしていました。
相手企業は、依頼者企業に対して、毎月のように、
「もうすぐ払える」を繰り返し、
結局、1円も支払わない状態が常態化していました。
そこで、当法律事務所の弁護士が、交渉から依頼を受けました。
弁護士が交渉するも支払わず
まず、弁護士から、支払請求書を送り、
速やかに支払うよう求めましたが、なしのつぶてでした。
その後、相手企業の経理部部長に電話をすると、電話に出ました。
部長は、
「支払い計画を今作っていて、書面を出す用意をしている」
と言ったため、一度、これを信じて待ちました。
しかし、一向に、支払計画書は出て来ず、
しびれを切らして何度も電話すると、
部長は、
「15日,25日,30日でお支払いが完了するようにします。」
と言いました。
私から、「支払確約書」を提出するよう伝えたところ、
債権総額と分割方法が記載された「支払確約書」が出てきました。
半信半疑で支払い期日を待ちましたが、案の定、支払いはありませんでした。
訴訟提起することに
そこで、やむなく、訴訟提起する決断をしました。
訴状
訴状は、いたってシンプルで、4枚程度なのですぐに作成できました。
個別契約の締結と、納品していることを主張・立証し、支払確約書で相手も債権総額を認めていることを裁判官に、分かりやすく伝える訴状を作りました。
第一回期日
第一回期日が、訴訟提起の約1か月後に指定されました。
債権回収事件は、この第一回期日をできるだけは早めるよう、書記官に予め伝えておくことがポイントです。
第一回期日が開かれましたが、
相手は、答弁書も提出せず、出頭もしませんでした。
欠席判決
答弁書も提出せず、出頭しないと、
相手企業は、こちらの訴状の言い分をすべて認めものとみなされ、
第一回期日で終結します。
一週間後に、判決期日が指定され、
無事に約2000万円全額が認められる判決が出ました。
債権を強制執行する
仮執行宣言ですぐに強制執行する
さて、ここからが勝負です。
判決が出ても、回収ができなければ、絵に描いた餅の判決です。
この時期、相手企業が、「他の会社からも訴えられている」というような噂を聴くようになりました。
本来は、勝訴判決が確定する2週間が経たないと強制執行できないのですが、
勝訴判決には、「仮執行宣言」という、
判決が相手に送達後、すぐに執行できるお墨付きを付けてもらったため、
すぐに強制執行することができました。
預貯金と売掛債権を押さえにいく
帝国データバンクと商工リサーチで調査していた、相手企業が借入をしている金融機関と重要な取引先に対して、強制執行をすることにしました。
ここで考えないといけないのは、
できるだけ多く回収するために、
相手企業が、どこの銀行にどのくらい持っているのか、
相殺される借り入れがないのか、どこの取引先との取引が大きいのか、
約2000万円の債権を振り分ける比率です。
債権を執行すると、預金残高や取引先の売掛金が分かる
強制執行したところ、多くの金融機関、取引先から、
「第三債務者の陳述書」という書面に、
預金残高や取引先の売掛金の金額が記載されて戻ってきました。
そうしたら、残高の少ない金融機関の差押を取り下げ、
売掛金の残高の多い取引先の差押債権額を追加します。
このように、第一回の強制執行は、どうしても探索的にならざるを得ませんが、
残高が分かった後は、取り下げ、追加するということを何度か行います。
信用不安の強制執行には、転付命令を付けるのが肝
ただ、信用不安がある会社には、他の会社も強制執行してきます。
そうすると、強制執行が競合して、取引先から全額回収できません。
また、相手企業に破産されてしまえば、元も子もありません。
そこで、信用不安のある会社に対して、
強制執行するにあたり、肝になるのが、
「転付命令」を付けることです。
転付命令とは、簡単に言うと、相手企業が取引先に持つ債権を強制的に譲渡させてしまう裁判所の命令です。
今回、2回目の強制執行に転付命令を付けることで、依頼者は、取引先に対して、直接請求し、取引先から依頼者に支払ってもらうことが可能になりました。
もちろん、取引先の支払期日が来ていなければ、その支払期日まで待たなければいけませんが、他の債権者からの執行や破産を恐れる必要がなくなります。
債権回収はスピード勝負
信用不安のある会社に対しては、
テンポよく交渉し、できる限り、
支払い確約書をとりつけ、
それでも支払わなければ、
訴訟をすぐに提起し、
リサーチ会社の報告書をもとに、
判決が出たらすぐに強制執行し、
債権残高が大きい取引先に、
転付命令付きの強制執行とすることで、
回収の確立を高めることができます。
売掛金の回収に困っている経営者、会社様は、
ぜひご相談ください。