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大家さん必見!テナントへの賃料増額請求の手続き
はじめに
近年、土地や建物の価格上昇に伴い、大家さんにとって賃料収入の確保は重要な課題となっています。しかし、長年同じテナントが入居している場合、契約当初の家賃が相場よりも低くなっているケースも多く見られます。
そこで今回は、大家さんがテナントに対して賃料増額請求を行う場合の手続きについて解説します。
1. 賃料増額請求の根拠
まず、賃料増額請求を行うためには、地代が不相当に低くなったことが必要です。
主な事由としては、以下のものが挙げられます。
- 土地に対する租税その他の公課の増大
- 土地価格の上昇
- 近隣の類似の土地が賃料の相場を上げた場合
また、現行の賃料が定められてから相当期間が経過したこと、
当事者間の個人的な事情の変化(世代交代により大家が変わった場合など)も考慮されます。
一定期間、地代を増額しない旨の特約(不増額特約)がないことも必要です。
2. 賃料増額請求の手順
2.1 事前準備
賃料増額請求を行う前に、以下の準備をしておきましょう。
- 周辺相場の調査: 周辺地域の類似物件の家賃相場を調査し、資料としてまとめる
- 修繕・改築記録: 建物の修繕や改築を行った場合は、その記録を準備する
- 書面の準備: 賃料増額請求書、賃貸借契約書、周辺相場資料などを準備する
2.2 協議
まずは、テナントと直接話し合いを行い、賃料増額について協議します。
このとき、弁護士が入り、上記の根拠を説明すると、納得してもらえることがあります。
2.3 調停
協議がまとまらない場合は、簡易裁判所に賃料増額調停を申し立てることができます。
調停は、裁判官と調停委員が間に入り、双方の意見を聞いて合意点を探る手続きです。
「調停前置主義」といって、一度、調停をしなければ、裁判を起こすことができないこととなっています。
2.4 裁判
調停でも合意が成立しない場合は、裁判所に賃料増額請求訴訟を提起することができます。
裁判では、双方が証拠を提出して主張を行い、裁判官が賃料額を決定します。
ほとんどの場合、裁判所が選任する鑑定人が、不動産鑑定で賃料額を決定し、双方、それに従い和解をします。
なお、鑑定費用は、大家とテナントで折半になることがほとんどです。
3. まとめ
賃料増額請求は、大家さんにとって権利ですが、テナントとの関係を考慮しながら慎重に行う必要があります。
長野法律事務所は、提携先の不動産業者から査定をとり、適正な賃料増額の話し合いをテナントとすることをお手伝いさせていただきます。