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長野法律事務所ホームニュース・ブログ夫婦・親子関係【家族法改正】離婚後の「共同親権」で何が変わる?生活への影響と具体的なルールを解説

【家族法改正】離婚後の「共同親権」で何が変わる?生活への影響と具体的なルールを解説

2026.01.09
カテゴリ: 夫婦・親子関係
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こんにちは。弁護士の長野修一です。
家族法が改正され、2026年4月1日からいよいよ導入される「共同親権」。
「離婚しても二人で育てるの?」「何でも相手の許可がいるの?」といった不安や疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は、家庭裁判所との勉強会資料などの最新情報をもとに、共同親権の仕組みを具体的なケースを交えてわかりやすく解説します。


1. 共同親権とは?

これまでは離婚後は「単独親権(父か母のどちらか)」でしたが、改正後は「共同親権(父母双方)」という選択肢が加わりました。
これは、離婚後も父母双方が適切な形で子供の養育に関わり、責任を果たすことが子供の利益になるという考えに基づいています 。

ただし、どんな場合でも共同親権になるわけではありません。虐待やDVがある場合など、共同で行うことが難しい、あるいは子供に害が及ぶ恐れがある場合は、必ず「単独親権」にならなければならないと決められています 。

どんなときに「共同親権」になるの?具体的なケース

「共同親権」になるのは、大きく分けて「夫婦で合意した場合」と、「裁判所が認めた場合」の2つのパターンがあります。
単独親権になる場合との違いを、具体例で見てみましょう。

ケース1:夫婦の話し合いで決める場合(協議離婚)
一番多いのは、離婚届を出す際に夫婦で話し合って決めるパターンです。

【具体例】

  • 「夫婦としての愛情はなくなったが、親としてはお互いに子供の成長に関わりたい」と双方が考えている。
  • 離婚後も、学校行事や進路についてLINEや電話で普通に相談ができる関係である。
    → 夫婦の合意があれば「共同親権」を選べます。

ケース2:裁判所が決める場合(調停・審判・訴訟)
話し合いがまとまらず、裁判所が判断するケースです。裁判所は「子供の利益(子供にとって何が一番良いか)」を基準に判断します。

【具体例A:共同親権になりやすいケース】

  • 性格の不一致で離婚するが、DVや虐待の事実はない。
  • 相手のことは嫌いだが、子供のことに関しては最低限の連絡や協力ができる(またはできそうだと裁判所が判断した)。
    → 「共同親権」になる可能性があります。

【具体例B:必ず「単独親権」になるケース(必要的単独親権)】

  • 過去に子供への虐待があった。
  • 配偶者からのDV(暴力や激しい言葉の暴力など)があり、対等に話し合うことが難しい、または危険である。
    → この場合は、子供の安全を守るため、必ず「単独親権(どちらか一方)」になります。

ポイント
裁判所が共同親権を決める際、もっとも重視されるのは「子供のために、最低限の協力関係が築けるかどうか」です 。
「相手と顔を合わせたくない」という感情的な対立があっても、子供のためにメール等で事務的な連絡が取れるのであれば、共同親権が認められる可能性があります。

2. 「いちいち相手の許可が必要?」親権行使のルール

共同親権になると、「すべてのことを二人で話し合って決めないといけないの?」と心配になるかもしれません。
実は、法律で「一人で決めていいこと」「二人で決めるべきこと」のルールが整理されました 。

A. 一人で決めてOKな場合(単独親権行使)

以下の2つのケースでは、同居している親(または監護している親)が単独で決めることができます。

  1. 「日常の行為」
    子供の心身に重大な影響を与えない、日々の世話のことです。

【具体例】

  • 毎日の食事のメニューや服装を決める 。
  • 短期間の観光旅行に連れて行く 。
  • 虫歯の治療や風邪での通院など、軽い医療行為 。
  • 習い事の選択(重大な影響がない範囲) 。
  • 高校生のアルバイトの許可 。

「急迫の事情」があるとき
話し合っている時間がない緊急事態のことです。

【具体例】

  • 子供が事故に遭い、緊急手術が必要なとき 。
  • DVや虐待から避難する必要があるとき 。
  • 受験の合格発表後、入学手続きの期限が明日まで迫っているのに連絡がつかないとき 。

B. 二人で決める必要がある場合(共同親権行使)

子供の人生に大きな影響を与える「重要事項」は、父母で話し合って決める必要があります。

【具体例】

  • 居所の変更(引っ越し): 子供の転居は生活環境を大きく変えるため、勝手には決められません 。
  • 進学先の決定: 公立か私立か、どの高校に行くか、退学するかなどは共同で決めます 。
  • 重大な医療行為: 手術など心身に重大な影響があるもの 。

3. 話し合いがまとまらなかったら?(親権行使者指定)

「進学先について、父は公立、母は私立で意見が対立して決まらない!」
このように話し合いが平行線になった場合、家庭裁判所に申し立てて、「その特定の事項(例:高校進学)に限って、単独で決めることができる人」を指定してもらう制度ができました 。

これを「特定事項についての親権行使者の指定」といいます。
裁判所は、どちらの親が決めるのが子供のためになるか(例:普段の勉強を見ているのはどちらか、子供自身の意向はどうかなど)を総合的に判断して決めます 。

4. 監護者指定・監護の分掌という方法も

さらに柔軟なルール作りとして、以下のような取り決めも可能です。

  • 監護者の指定:
    教育や居所指定など、子供の身の回りの世話(身上監護)全般について、特定の親に強い権限を与える制度です。監護者に指定されると、重要事項も含めて単独で決定できる範囲が広がります 。
  • 監護の分掌(ぶんしょう):
    役割分担を決めることです。
  • 事項の分掌: 「教育に関することは母、それ以外は共同」のように担当を決める 。
  • 期間の分掌: 「夏休みは父、普段は母」「週末は父」のように期間で担当を分ける 。

まとめ

共同親権になっても、毎日の細かいことまで元配偶者に連絡する必要はありません。しかし、進学や引っ越しなどの重要事項は「子供の利益」のために協力する必要があります。

「自分のケースでは共同親権にすべきか」「相手と話ができる関係ではない」など、ご不安な点は当事務所までお気軽にご相談ください。