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コンサルタント転職は「背信的引き抜き」 賠償命じる 東京地裁

2022年2月16日、「コンサルタント転職は「背信的引き抜き」 賠償命じる 東京地裁」というニュースがありました。

引き抜いた元幹部は、会社に対して5000万円余りの賠償が命じれらました。


双方どんな主張をしたか

記事の内容を要約すると

引き抜かれた会社(原告) 「すでに移籍した元幹部の男性が社内規定に反して部下を引き抜いた」と主張

引き抜いた幹部 (被告) 「転職の相談を受けただけで、引き抜きは行っていない」と主張

まず、会社は、社内規定に退職後も、競業避止義務や会社に対して損害を与える行為の禁止などを定めており、元幹部はこれに違反したと主張したと考えられます。

一方、元幹部は、自分から積極的に引き抜き行為を行ったわけではなく、「辞めたい」などと言っていた従業員が、「うちに来たい」と言ったため、受け容れた、などと主張したと考えられます。

裁判所の判断

裁判長は

「給与や配属先をあらかじめ確約するなどして移籍を強く呼びかけていた。単なる勧誘にとどまらず、競業他社の人材を流出させ、事業に悪影響を及ぼすための背信的な引き抜き行為だ」と指摘

賠償額がこんなにも高いのは、おそらくコンサルタントの年収や売上が影響していると思いますが、大事なポイントは、
■ 引き抜いたのが、元従業員だったこと
■ 会社の社内規定に引き抜き禁止等の規則があったこと
■ 転職相談を超えて、「給与や配属先をあらかじめ確約するなど」積極的なアプローチをしていたことかと思います。

まとめ

人材が流動化し、御社にもライバル企業から移籍してくることもあるかと思います。もちろん、転職は基本的には自由なので、過度に慎重になる必要はありませんが、ライバル企業から来た人が積極的に引き抜きをしようとしているなどしたら注意をしてください。逆に、元従業員が引き抜きをされていると思われることがあれば、弁護士から牽制をすることも意味があるかと思います。

引き抜き行為は、引き抜かれた当の従業員が本当の証言をしないので、なかなか裁判では勝てない案件と言われていますが、このように社内に規定があり、積極的に引き抜いたことが立証されると、多額の賠償責任が認められることがあるということを知っておくとよいかと思います。