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「契約期間中は解約できない」は本当か?〜コンサルティング契約解約トラブルの解決事例

まず結論から
コンサルティング契約や顧問契約などは、
たとえ契約期間が定められていても、
原則として、依頼者側からはいつでも解約できます。
相談内容
「契約期間中の解約は認められない」として、
コンサルティング契約の残期間分の報酬約250万円を請求された企業様から相談がありました。
月額45万円のコンサルティング契約を、
契約期間満了の半年前に解約したことがきっかけでした。
相手方からは
「長期契約を前提に値引きに応じていた」
「契約期間の定めがある以上、途中解約は認められない」
との主張がありました。
法的な整理
このようなコンサルティング契約は、民法上の「準委任契約」にあたります。
そして民法651条では、委任契約はいつでも解除できると定められています。
契約期間が定められていても、契約期間中、依頼者側からの解約は可能です。
また、「解約禁止」の条項があっても解約が可能な可能性も十分にあります。
(専門用語で「片面的強行規定」といいますが、これに当たるかは諸説あります。)
ただし、「不利な時期」に解約した場合は、損害賠償が必要になることがあります。
もっとも、残りの期間の報酬が、自動的に損害になるわけではありません。
実際の解決プロセス
当初、相手方の弁護士は強硬な態度で臨み、
「契約期間中の解約は認められない」
「残期間分の報酬約を支払え」
「契約外の追加業務の報酬も請求する」
と主張してきました。
しかし、民法の規定を示し、同時に、早期解決のメリットも示しながら、
適切な金額での解決を提案しました。

(参考)弁護士が実際に相手方の弁護士に送付した書面の一部
交渉は一進一退。
相手方からは契約外業務の追加請求もあり、一時は解決が遠のきましたが、
粘り強い交渉の結果、約300万円から大幅に減額し、
最終的に解決金55万円での和解にこぎつけました。
双方が納得できる解決となりました。
企業経営者の方へ
コンサルティング契約に限らず、
業務委託契約では「契約期間中は解約できない」と言われることがよくあります。
しかし、これは必ずしも正しくありません。
契約の性質によって適用される法律が異なり、解約の可否も変わってきます。
法律の知識がないために、不当に高額な解決金を支払ってしまうケースも少なくありません。
特に注意すべきポイントとして、
- 契約期間中の解約申出であっても、原則として解約できる。
- 残りの期間の報酬は、原則としてできない。
- もっとも、解約自体は可能でも、「不利な時期」の解約は損害賠償が必要な場合がある。
このような契約トラブルでお悩みの際は、一人で判断せず、ぜひ弁護士にご相談ください。
適切な法的助言により、無用な出費を防ぐことができます。
予防のために
今後のために、契約書作成時には以下の点にぜひ注意しましょう。
- 解約条件の明確化
- 追加業務が発生した場合の手続きの明記
- 業務範囲の具体的な特定
- 報酬額の算定基準の明確化
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