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工事下請のための元請先に対する売掛金回収のイロハ(回収編)

工事の下請会社様より

「元請先より工事の売掛金を支払ってもらえない!」

というご相談を多く受けています。

「施主⇒元請先⇒下請け」という構造では
施主が元請先に支払っていても、
下請けに支払ってもらえないことや
施主が元請先に支払わないので
下請けに支払わないことなどがあります。

本記事では

  • 支払われないときどう対応すればよいか

これらの観点で予防と対策をご紹介します。

元請と話ができる場合

1.「債務弁済の合意書」をとる

まず、元請が、支払金額について認めているが、以下の理由で支払わない場合。

  • 施主が払ってくれないので支払わない
  • 資金繰りが悪化していて払わない


この場合、支払時期について、猶予を求めているだけですので、
まず、支払額についてでも、合意書をとっておくことをお薦めします。

2. 報酬の債権譲渡を要求する。

次に、元請に、債権譲渡できる債権はないか確認します。
たとえば、この工事の施主に対する請負代金がまだ支払われていなければ、
その債権を譲渡をするよう要求します。

もし債権譲渡を受けることができれば、確定日付のある通知書を、施主に対して送ります。
(この手続きは、弁護士に確認をとることをお薦めします。)

3. 分割方法を合意する。

元請が、分割払いを要求してきた場合、以下の点を検討する必要があります。

  • 元請が、その支払期間に、倒産する恐れはないか。
  • 連帯保証を、元請の代表者やその親族にさせられるか。
  • 担保にとれそうな機械や物はないか。

元請が倒産してしまえば、数パーセントの配当しか回収できないことが多いです。
したがって、支払期間はできるだけ短くすることをお薦めします(できれば3か月以内)。

また、元請が、支払いを怠った場合、すぐに全額に対して仮差押や訴訟ができるよう
「期限の利益喪失」という条項を入れておきます。

元請が無視する場合

一方、元請が無視し、まったく話ができない場合には、
以下の順番で進めていきます。

  • 弁護士による受任通知の発送
  • 仮差押の検討
  • 訴訟

1. 弁護士による受任通知の発送

弁護士に依頼して、受任通知を施主に送ると、
慌てて弁護士に電話が来ることがよくあります。

2. 仮差押の申立てをする

それでも、無視する場合には、「仮差押の申立て」をします。
仮差押は、「差押」とは、似て非なるもので、
これをしても、直接、支払いを受けられるものではありません。
(詳しくは、「仮差押⇒訴訟⇒差押は、宝箱をイメージするとわかる」をご覧ください。)

ただ、元請の銀行預金や売掛金に対して仮差押の申立てをすることで、
相当なプレッシャーをかけることができ、任意の支払いに応じさえることができます。

一つデメリットがあるとすれば、債権額の約3割の担保金をいれなければならないことです。
空振りになったとしても、訴訟が終了するまで、担保金は戻ってきません。
(余程のことがない限り、全額、戻ってきますが。)

3. 訴訟を提起する

仮差押をしても支払わなければ、速やかに、訴訟を提起します。

相手が第1回の期日に、答弁書も出さずに欠席すれば、
相手はこちらの主張を認めたものとして、
1週間後には、判決が出ます。

相手が答弁書を提出し、争う姿勢を見せると、
その後、訴訟の手続きが進みます。

4. 仮執行宣言に基づき、執行する

判決には、以下のような仮執行宣言が付くことがほとんどです。

この仮執行宣言が付くと、
判決文が送達されてからすぐに執行をすることができます。

執行の対象としては以下の資産が考えられます。

  • 金融機関の預貯金(支店の特定が必要)
  • 売掛金(売掛の相手と債権の種類の特定が必要)
  • 動産(所有をしている必要)
  • 不動産(抵当権が入っていないのが理想。予納金は高い。)

当法律事務所では、
債権回収について相談を承っていますので、
お気軽にご相談ください。