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【相続】父・母の預貯金が、こんなに少ないはずがない!
父・母が亡くなり、相続の遺産目録を兄弟姉妹から見せられると、預貯金が思ったよりも少ないといった事案は、本当に多くあります。
「多くの退職金をもらっていたはず」、「不動産から収入を得ていた」、それなのに、最後に残った預貯金が、想像以上に少なかった。
相続の関係で、弁護士が受ける相談で一番多いのがこのパターンです。
多くの場合、父・母と同居をしていた(もしくは近所で世話をしていた)、一人の兄弟姉妹が、父・母の通帳やキャッシュカードを管理している場合に、「争族」に発展しやすいです。
では、遺産が思っていたよりも少ないと主張する相続人は、どのように対応するべきでしょうか。
取引履歴の取り寄せ
多くの場合、同居していた兄弟姉妹に、通帳の原本を見せてくれといっても、見せてもらえないことが多いです。
このような場合、金融機関に問い合わせをし、自身が相続人であることが分かる戸籍等をもって申請すれば、10年分の取引履歴を開示してもらえることが多いです。
(詳しくは、対象金融機関の支店にお問い合わせください。)
取引履歴の分析
その上で、取引履歴のうちから、摘要欄から使途が分からない金額と日付と摘要欄をExcelに転記していきます。
たとえば、
ATMからの引き出しを意味する「CD」
窓口出金を意味する「空欄」
など、各金融機関によって、摘要欄を参考に入力していきます。
取引履歴の集計
最後に、Excelのピボットテーブルなどを利用し、毎月、何円が引き出されていたかを算出します。
そうすると、普段は20万円しか引き出されていないのに、ある月では、50万円が何度も引き出されていることなどが分かります。
相手方に説明を求める
その上で、同居していた兄弟姉妹に対して、使途不明金の説明を求めていきます。
その際、通帳をいつから誰が管理をしたいたのか、をまず確認して、同居していた兄弟姉妹が、管理していたことを確認した上で、集計した結果を質問した方が効果的です。
相手方がしらばっくれるのなら弁護士会照会
父・母が、ATMから出金するような人でもないのに、毎月のように大金がATM出金されているにもかかわらず、相手方が、キャッシュカードや通帳を管理していなかったと主張する場合があります。
この場合、3ヶ月以内であれば、弁護士に依頼した上、金融機関のATMの防犯カメラの映像を弁護士会照会などで開示を求めることもできることがあります(金融機関の運用によるため絶対ではありません。)
相手方が全て親に渡していたという場合
また、相手方が、父・母からATM出金を依頼され、それをいつも親に渡していたという言い訳もよくあります。
この場合、多額の資金使途を同居していた家族が知らないというのも不自然ですので、それを質問していきます。
最後は調停、裁判
最後は、遺産分割調停で、使途不明金を主張し、調停委員や裁判官を味方につけて、少しでも自分達に有利に調停を進めていきます。
ただ、相手も白を切ることが多い紛争なので、最終的に折り合いが付かないかもしれません。
その場合、最終的には、不当利得返還請求の訴訟を提起することになります。ただ、使途不明金の訴訟は、父・母の預貯金口座から多額の金銭が引き出された証拠しかありません。
最終的に不当利得が認められるかどうかは、親がATMから引き出せる状況ではなかったこと、相手方が資金使途を説明できるか、裏付け証拠があるかなどによる総合的な判断に委ねられることになります。
専門性が求められる事件
このように、使途不明金に関する紛争は、預貯金の履歴の分析から、相手に対する質問、交渉、裁判での見通しなどが必要な案件になります。
当法律事務所は多くの使途不明金の調停・裁判の実績がありますので、相続関係の使途不明金で気になっている方は、ご相談ください。