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長野法律事務所ホームニュース・ブログ労働・労災【最高裁判決のAI要約】宮崎テレビ退職慰労金の取締役会による減額決議

【最高裁判決のAI要約】宮崎テレビ退職慰労金の取締役会による減額決議

2024.07.10
カテゴリ: 労働・労災
タグ:

この記事は、生成AIにより、最高裁判決をAIで要約するものです。
なお、弁護士が、判決全文を読んだ上、内容の正しさについて確認しています。

令和4年(受)第1780号 退職慰労金等請求事件 令和6年7月8日 第一小法廷判決

https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/176/093176_hanrei.pdf

事件概要:

株式会社テレビ宮崎の元代表取締役(被上告人)が、退職慰労金の減額決議に関して、現代表取締役(上告人Y1)と会社(上告人会社)に対し損害賠償を求めた事案です。主な争点は、取締役会による退職慰労金減額決議に裁量権の逸脱または濫用があったか否かです。

事実関係:

  1. 上告人会社には、退任取締役の退職慰労金に関する内規があり、「在任中特に重大な損害を与えたもの」に対し基準額を減額できる規定(本件減額規定)があった。
  2. 被上告人は2004年6月に代表取締役に就任。
  3. 被上告人は在任中、以下の不適切行為を行った:
    a) 社内規程を超える宿泊費等の受領と、発覚後の不適切な対応(本件行為1)
    b) 過剰な交際費支出や海外旅費規程の不適切な改定(本件行為2)
    c) 文化芸術活動支援事業等への過剰な支出(本件行為3)
  4. 2017年6月の株主総会で、被上告人の退職慰労金決定を取締役会に一任する決議がなされた。
  5. 中立的な調査委員会が設置され、詳細な調査報告書を作成。報告書は被上告人の行為を厳しく批判し、約3億5551万円の損害額を指摘。
  6. 2018年2月の取締役会で、被上告人の退職慰労金を3億7720万円の基準額から5700万円に減額する決議(本件取締役会決議)がなされた。

原審(高裁)の判断:

高裁は、本件減額規定は特に重大な損害を与えた行為による損害相当額のみを減額できると解釈。
本件行為3を考慮して減額したことは裁量権の逸脱・濫用にあたるとし、被上告人の請求を認容。

最高裁の判断:

  1. 本件減額規定の解釈:
  • 趣旨は取締役の職務執行の適正を図ること。
  • 取締役会は、退任取締役の行為の内容・性質、会社への影響、地位等を総合考慮して判断すべき。
  • 取締役会は広い裁量権を有し、株主総会の委任趣旨に照らして不合理な場合のみ裁量権の逸脱・濫用となる。
  1. 本件への適用:
    a) 本件行為1の内容と影響:
    • 長期間の社内規程違反
    • 発覚後の不適切な対応
    • 報道による会社の社会的信用の毀損
    b) 調査委員会の報告書:
    • 中立的な専門家により構成
    • 本件行為1は特別背任罪の疑い
    • 本件行為2も正当化できない
    • 両行為により会社に多大な損害
    c) 取締役会の審議過程:
    • 報告書を踏まえた実質的な審議
    • 告訴案も検討した上での判断
  2. 結論:
  • 本件行為1・2を会社に多大な損害を及ぼすものと評価することには合理的根拠がある。
  • 本件行為3の評価に関わらず、被上告人を「在任中特に重大な損害を与えたもの」とする判断は不合理ではない。
  • 退職慰労金を5700万円とした判断も株主総会の委任趣旨に照らして不合理ではない。
  • よって、本件取締役会決議に裁量権の逸脱・濫用はない。

最高裁の判決:

  1. 原判決(高裁判決)を破棄する。
  2. 第一審判決を取り消す。
  3. 被上告人(元代表取締役)の請求をすべて棄却する。
  4. 訴訟費用は被上告人の負担とする。

本判決の意義:

  1. 取締役会の退職慰労金決定に関する裁量権の範囲を明確化。
  2. 裁量権の逸脱・濫用の判断基準を示した。
  3. 退職慰労金減額の際に考慮できる要素を広く認めた。
  4. 会社に損害を与えた取締役への適切な対応を可能にする判断を示した。

この判決により、取締役会が退職慰労金を決定する際の指針が示され、会社の利益を守りつつ適切な判断を行うための法的基準が明確になったといえます。
また、取締役の不適切行為に対する会社側の対応の選択肢が広がったことも重要な点です。
一方で、取締役会の広い裁量を認めたことで、その判断の適切性を担保する仕組みの重要性も浮き彫りになったと言えるでしょう。